
1. 子どもたちが抱える見えない悩み
こんにちは。Happy Education Lab.の宮脇です。
塾を運営していると、時々悩み相談所になることがあるのです。
特に模試返却の個別面談の時にですね。
一人10分くらいの予定で始めるのですが、成績の話の後に「今、困っていることはない?」と声をかけると、10分が30分に、1時間に、場合によっては数日にまたがって5時間になることも…。
でも、それでいいと思っています。
勉強に集中する場所として塾を運営していますが、中学生が勉強どころじゃない時なんて、そりゃあいくらでもあるでしょう。
普段元気そうにしている子でも、その裏では悩んでいることがあるものです。
そんな悩みを軽くするのも、私たち大人の役割だと考えているのです。
2. 「人を傷つけてしまう」と悩む子どもの本質
先日の面談でも、こんな悩みを抱えている生徒がいました。
「自分が友達に言ってしまった一言で、悪気はなかったけど、相手を傷つけてしまった。こういうところが僕の悪いところなんです。正直、こういうことが他の人でも頻繁に起きるから、自分が嫌になります」と。
友人関係に悩むだけでなく、自分自身を否定してしまう精神状態。
見ていて本当に痛々しいものでした。
でもね、話を聞いていて思うのです。
「それ、短所でなくて、長所じゃん!」と。
悪気がないのに人を傷つけてしまうのは、自分ではそのつもりもないのに相手にとってはその言葉が鋭すぎるからなのです。
言葉をよく知っていて、本質的・抽象的に物事を見る癖がある子にはよく起きる現象なんですよね。
何気なく言ってしまった一言が、相手の心をザクっと傷つけてしまうことが起きるのです。

3. 長所を短所と勘違いしてしまう危険性
そのいざこざの根本的原因は、相手とお子さんの言葉に対する感覚が違うことなのです。
どちらかと言うと、お子さんの感覚が鋭いからです。
だから、それは長所なのです。
でも、本人は「また人を傷つけてしまった」「自分はダメな人間だ」と自分を責めてしまう。
これって、とてももったいないことだと思いませんか?
今やるべきことは、そんな風に自分を否定することではなくて、自分の特徴をちゃんと理解して、それをどうしたら活用できるかということ。
言葉の使い方を学べば、むしろお子さんの武器になるのです。
私はその生徒にこう伝えました。
「でも、まずはちゃんと謝ることが大切だよ。傷ついた友達にも元気になって欲しいからね」と。
そして、「その上で、自分の才能を認識して、それを生かす方法を一緒に考えよう」と話しました。
最初はちょっと驚いた顔をしていましたが、話が終わる頃には明るい顔になってくれました。
4. 親として子どもの才能を見つけてあげる〜リフレーミング声かけ法〜
自分の長所を欠点だと勘違いして、自己否定してもいいことなんかありません。
お子さんが学ばないといけないことは、そうやって自分を責めることではなく、自分の才能を自分で認識して、それを生かす方法論を学ぶことなのです。
親御さんにお願いしたいのは、お子さんの「問題行動」を見つけた時、まず一度立ち止まって考えてみてほしいということです。
「これって、もしかして長所の裏返しかもしれない」と。
そして、お子さんが「また友達を怒らせちゃった…」と落ち込んでいる時、こんな風に声をかけてみてください。
「今度は気をつけなさい」ではなく、「まずはちゃんと謝ろうね。そして、○○ちゃんは相手のことをよく見てるからそういうことが起きるのね。その観察力を今度は相手の気持ちを理解する方に使ってみたらどうかな?」と。
これが「リフレーミング声かけ法」です。
見方の枠組みを変えるという意味です。
責任を取ることの大切さを教えながら、欠点を長所として捉え直してあげることで、お子さんの自己肯定感を守りながら改善の方向性を示すことができるのです。
広島県の平川前教育長が書いていた「自己を認識し、自分の人生を選択し、表現することができる力」という言葉。
この言葉を正面から受け止めることが子どもたちの幸せに繋がる気がしてなりません。
お子さんが自分の長所の使い方を知らなかっただけ。
自分を否定するのでなく、客観的に自分をよく知ることから始めてみませんか?

【この記事を書いた人】
宮脇慎也(教育コンサルタント)
・20年以上の教育現場経験
・700組以上の親子面談実績
・中学生の偏差値を平均7ポイント向上させた実績
・進学空間Move塾長として地域教育に貢献
・2030年までに1万組の親子の成長をサポートすることを目標
広島大学大学院社会科学研究科博士課程後期修了。2013年から広島市で学習塾を運営し、個別演習型指導で多くの生徒の学力向上を実現。近年はキャリア教育にも注力し、社会人講師を招いた講演会を多数主催。
Happy Education Lab. 運営者
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