子どもの自立を促すために親が歩むべき道~高校生の娘が教えてくれた親子関係の本質~

1. はじめに

こんにちは。Happy Education Lab.の宮脇です。

 

親子関係について、今日は少しお話ししたいと思います。

 

最近、中学生や高校生の保護者の方から「子どもの反抗期が終わったのに、なんだか距離を感じる」「進路の話をしても本音を言ってくれない」「急に大人びた発言をして驚かされる」といった相談を受けることが増えています。

 

子どもたちって、時に私たちがびっくりするほど大人なんだなと思うことがありますよね。

 

少し前ですが、ある親子さんとの出会いで、本当に深く考えさせられる出来事がありました。

 

お母さんと高校生の娘さんとの会話から、親子関係の本質について大切なことを教えてもらったのです。

 

実は、この背景には思春期後期特有の心理的な変化があるのです。

 

子どもたちは自立への不安を感じながらも、同時に親への配慮も深めている。

 

そんな複雑な心境を抱えているということが、この出来事を通して見えてきました。

2. 娘が語った本音に隠された深い思い

 そのお嬢さんは、数年後には家を出て大学進学や一人暮らしなど、自立に向けた準備をしなければならない時期にさしかかっていました。

 

ところが、娘さんは「家に残る」ということを言っていたんですよね。

 

最初は単純に実家志向なのかなと思ったのですが、よくよく話を聞いてみると、全く違う理由が見えてきました。

 

「本当に自由がもらえるなら外に行きたい。国外にも行ってみたい」

 

そんな願望を持ちながらも、家を出ることができない。

 

その理由が、なんと「私が家を出てしまうと、お母さんが今の家で困ってしまう」というものだったのです。

 

実は、これは、高校生によく見られる現象です。

 

発達心理学では「親子の役割逆転」と呼ばれることもあります。

 

子どもが親を心配し始める兆候として、「お母さん、大丈夫?」と頻繁に聞いたり、自分の予定より親の都合を優先したり、進路選択で「家から通える範囲で」と限定したりすることがあります。

 

非常に難しい問題ですが、その時は三者面談だったので、お母さんもそんな言葉を隣で娘さんが急に言い出したので、本当にびっくりしていました。

 

でも、この娘さんの言葉には、親への深い愛情と同時に、自立への葛藤が込められていたんですね。

3. 母親の気づきと家族の新しいスタート

そこでお母さんは、すぐに娘さんに「お母さんは自分で自由にするから、好きなようにして大丈夫だよ」と声をかけてくれました。

 

そしてそれを受けて「じゃあ本当に自立に向けて具体的にどうしようか」という話し合いが進むという場面に、私が立ち会ったことがあります。

 

このお母さんの対応が本当に素晴らしかったんです。

 

瞬間的に状況を理解し、娘さんの不安を取り除くと同時に、自分も変わっていく意思を示されました。

 

この「親も変わる」という姿勢が、子どもの自立を促す重要な要素なのです。

 

では、具体的にどうすれば親自身が変わっていけるのでしょうか。

 

まず大切なのは、子どもの話題が会話の8割を占めていないか、子どもの失敗を先回りして防ごうとしていないか、子どもの予定を把握しすぎていないかを振り返ることです。

 

これらのチェックポイントに当てはまる項目が多いほど、子離れが必要な時期に来ているサインかもしれません。

4. 子離れが子どもの自立を促す理由

この話、非常に示唆に富んでいて、いろんなお母さんにとって必要な話なんじゃないかと思うんです。

 

もちろん、お父さんでもそうです。

 

私たちHappy Education Lab.では、お子さんが自立して、その後は親御さんは親御さんの人生を、そして子どもは子どもの人生をそれぞれ歩み、必要があったときにお互いが助け合うという家族のあり方を模索しています。

 

そして、中学生や高校生の段階で、実はお子さんが親御さんを心配しているということが時々起きるわけです。

 

中学生の場合は「親の顔色を伺いながら進路を決めたがる」「家族の予定を優先しすぎる」といった形で現れ、高校生になると「親の老後を心配し始める」「自分の夢より家族の安定を選ぶ」といった、より具体的な配慮として表れることが多いんですね。

 

その結果として見えてくるのは、親が自分の人生を元気に歩み始めているということが、実は子どもの自立を促すということにつながるという事実です。

 

私がこの子育ての後半戦で、いかに子離れをしていくかという話をしてきているつもりなんですが、この体験を通して、その重要性を改めて実感しています。

 

5. 親自身の人生を楽しむことの大切さ

これまでの10年以上もの間、お子さんのことを思ってたくさん心を砕いてきて、労力をかけてきたことかと思います。

 

ですが、実は後半戦に入っても、その生活をずっと続けていた場合に、子どもの自立を邪魔しているのは、親のそうした姿勢にあるということが起きるわけです。

 

ですので、子どもさんのためにも、親御さんは自分の趣味であったり、自分のライフワークであったり、あるいは自分のお仕事であったり、自らの人生を楽しむような生活にシフトしていく。

 

そういったことが必要になってくるということを、ご承知ください。

 

具体的には、まず「週1回の習い事を始める」「月1回の友人との時間を作る」「10年後の自分の夢を3つ書き出す」といった小さな一歩から始めてみてください。

 

そして、明日から実践できることとして、子どもに「今日は○○をしてきたよ」と親の活動を報告したり、子どもの相談に対して「どう思う?」と逆質問したり、夫婦の時間を週1回30分確保したりすることをおすすめします。

 

子どもたちは、私たちが思っている以上に親のことを見ていて、心配もしてくれているんですね。

 

だからこそ、親が自分の人生を充実させて生きている姿を見せることが、子どもたちにとって最高の贈り物になるのかもしれません。

 

ぜひ参考にしてみてください。


【この記事を書いた人】

宮脇慎也(保護者向け教育コーチ)

 

・20年以上の教育現場経験

・700組以上の親子面談実績  

・中学生の偏差値を平均7ポイント向上させた実績

・進学空間Move塾長として地域教育に貢献

・2030年までに1万組の親子の成長をサポートすることを目標

 

広島大学大学院社会科学研究科博士課程後期修了。2013年から広島市で学習塾を運営し、個別演習型指導で多くの生徒の学力向上を実現。近年はキャリア教育にも注力し、社会人講師を招いた講演会を多数主催。

 

Happy Education Lab. 運営者