子どもの道の先にある石を取り除く保護者の方へ ~正解を知っているからこそ気をつけたいこと~

1. 高学歴・高地位の保護者の方に見られる傾向

こんにちは。Happy Education Lab.の宮脇です。

 

今日は、子どもの道の先にある石を取り除く親御さんというテーマでお話ししようと思います。

 

特に中学生を中心とした内容になりますが、他の年代にも通じる部分があるかと思います。

 

まず最初にお伝えしたいのは、子どもを心配するのは愛情の証拠だということです。

 

我が子の将来を案じ、より良い道を歩んでほしいと願うのは、親として当然の気持ちですよね。

 

色々な保護者の方を見ていると、高学歴のお母さんやお父さん、あるいは教員をされていたり、公務員であったり、ある程度社会的地位をお持ちで活動されているお父さん、お母さんに多い傾向があるのかなと個人的には思っています。

 

いわゆる正解を知っているがゆえに、子どもの道の先にある小石を取り除こうとする保護者の方に時々出会います。

 

ずいぶん数は減ったなぁというふうに実感することもあるんですけれども、やはりまだまだ我が子の可愛さのあまり、予見される困難や不都合について、先回りして取り除いたり、その道に進ませまいとするという場面に出会うことがあります。

 

これはご自身の成功体験があるんだろうということは想像に難くないですし、いろんなご家庭をご覧になっているからできることで、むしろどういった道だと我が子が安全に人生を進めることができるのかということを考えてのことなんでしょう。

2. 正論が子どものやる気を削ぐ現実

 例えば三者面談をしていて、お母さんがそうした正解の道を提示すれば提示するほど、隣で子どもがやる気をなくしていくという姿をよーく見るんですね。

 

中学生になると、中学生によくある光景です。

 

お母さんがおっしゃっていることは、基本的には何も間違っていない王道の考え方なんですけれども、それを子どもが望んでいないということがあった場合、その正論を言えば言うほど、子どものやる気を削いでいく、日々の活力を削いでいくということが起きていくのです。

 

その正論がどれほど正しくあろうと、一つ考えておいて欲しいのは、子どもたちがその道を歩むのであって、多少困難があったところで、子どもたちが実際にそれを進んでいくのは子どもたちであるということです。

 

石につまずいた、困難につまずいたところで、それを乗り越えていく責任は彼らもしくは彼女にあるという、この視点がどれぐらい持てるかっていうのがすごく大事なのかなと思います。

 

そこで大切なのが、子どもの意見を聞く3つのステップです。

 

①まず子どもの話を最後まで聞く、②親の意見を一旦横に置く、③子どもと一緒に現実的な道筋を考える、

 

という順番を意識してみてください。

 

特に②の「親の意見を一旦横に置く」というのは、正解を知っている保護者の方にとって最も難しい部分かもしれませんが、子どもの本音を引き出すためには必要な工程だと思います。

3. マルチステージの人生を見据えて

そして私がいつもお伝えしているように、人生はやはりマルチステージ(人生の中で複数の段階を経験すること)に進んでいきます。

 

一回道を決めたからといって、それで人生の全てが決まるわけでもないです。

 

その経験を糧に、次のキャリアに移って、どのようなマルチキャリア(一つの職業に固執せず、複数の経験を積み重ねる働き方)を構築していくかということも大切になっていきます。

 

ですので、まず大事にすべきは子どもが一体何をしたいのかということです。

 

それが現実的であるかどうかは中学生の時は実はあまり関係ないのかなと思っています。

 

というのも、子どもたちが現実を理解していないと思うことがあったとしても、そのあたりは子どもたち自身が自然と理解していくものです。

 

悟らずに夢を夢として追い続けるのも、それはもちろん素敵なことじゃないですか。

 

大事なのは今子どもたちがやりたいと思っていることに対して活力を発揮させる、そのための道を示してあげるということが大切であるかなと思います。

4. 見守る勇気こそが必要

 

こういうふうにちょっと無責任なことを言うと、「じゃあ子どもが高校中退になったらどうするんですか」って言う反応も来そうですけども、一番怖いのは子どもたちが歩みを止めることです。

 

実際に「失敗」した場合の学び方や立て直し方について、具体的な事例をお話しします。

 

まず、挫折を経験として捉え直す力を育てることです。例えば、志望校に落ちた生徒が「この経験があったから、より自分に合った環境を見つけられた」と後に語ることがあります。

 

次に、新しい選択肢を一緒に探す姿勢を持つことです。

 

一つの道が閉ざされても、必ず別の道があることを子どもと一緒に発見していく。

 

そして、失敗の原因を分析し、次に活かす習慣を身につけさせることです。

 

ただし、これらは親が一方的に教えるのではなく、子どもが自分で気づけるようにサポートすることが大切です。

 

子どもたちの活力を発揮させてあげて、自身が正しいと信じる道で進ませてあげる。

 

そしてその途中にある困難に関しては、子どもたちの責任で乗り越えさせてあげるのです。

 

それを私たちは子どもが成長したらぐっとこらえて見守る。これが必要だと考えています。

 

皆様はどのようにお考えでしょうか。またお話を聞かせてください。ありがとうございました。

 


【この記事を書いた人】

宮脇慎也(保護者向け教育コーチ)

 

・20年以上の教育現場経験

・700組以上の親子面談実績  

・中学生の偏差値を平均7ポイント向上させた実績

・進学空間Move塾長として地域教育に貢献

・2030年までに1万組の親子の成長をサポートすることを目標

 

広島大学大学院社会科学研究科博士課程後期修了。2013年から広島市で学習塾を運営し、個別演習型指導で多くの生徒の学力向上を実現。近年はキャリア教育にも注力し、社会人講師を招いた講演会を多数主催。

 

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