
1. 保護者の方との会話から気づいたこと
こんにちは。Happy Education Lab.の宮脇です。
先日、ある保護者の方とお話をしていて、とても印象深い言葉を聞きました。
「塾選びで大切にしているのは、ただ受験に合格させてくれるだけじゃなくて、大学卒業後の人生のことまで考えてくれるかどうかなんです。人生のレールに乗せるだけじゃダメだと思うので」とおっしゃったんですね。
この方は、それで私が経営している塾にお子さんを入塾させてくれたのですが、それにしてもこの「人生のレール」という言葉、久しぶりに聞いたなあと思いました。
確かに、私たちが子どもの頃は、いい高校に進学して、いい大学に行って、いい会社に入るという、はっきりとしたレールがあったように思います。
でも、今はどうでしょうか?
2. そもそも「人生のレール」って今も存在するの?
昔は確かにありましたよね。
いい大学に入っていい会社に入れば、終身雇用や年功序列制度の下で老後まで安泰。そんな時代が確実にあったと思います。
多くの保護者の方も、そういう時代を経験されてきたのではないでしょうか。
しかし、現実はどうでしょう。
日本経済が大きく変わって、もう数十年が経ちました。
終身雇用や年功序列は一部の大手企業に残るのみで、多くの企業では既に過去のものになっています。
非正規雇用が当たり前になり、副業が推奨される時代です。
これって、まさに「人生のレール」が機能しなくなっている証拠だと思うんですよね。
3. 変化し続ける社会で生きる子どもたち
さらに考えてみてください。
人生100年時代と言われる現在、今の中高生の半数は107歳まで生きるという推計もあります。
となると、彼らは80歳くらいまでは働くことになるでしょう。
50年以上という長い働く期間の中で、果たして一つのレールの上だけを走り続けられる人がどれくらいいるでしょうか?
私自身を振り返っても、きっと何回かは転職しているだろうなと思います。
社会の変化のスピードを考えると、一つの会社、一つの職種だけで人生を全うするのは、むしろ難しいのかもしれません。
つまり、いい大学に入っていい会社に入れば人生安泰なんて、そんな保証はもうどこにもないということです。
子どもたちは社会に出た後も、何度も選択を迫られ、自分で道を切り拓いていかなくてはならないのです。

4. レールに頼らない生き方に必要な「地頭力」
そう考えると、なくなりつつあるレールになんとしても乗せることを第一に考えるよりも、レールがなくても自分の道を歩んでいける力を身につけた方が、子どもたちの幸せにつながるのではないでしょうか。
では、そのために必要な力とは何でしょう?
それは私がいつもお話している「地頭力」だと思うのです。
地頭力とは、単に知識を詰め込むのではなく、物事を本質的に理解し、自分で考え抜く力のことです。
もちろん基礎的な学力は大切です。
でも、それ以上に重要なのは、初めて出会う問題に対しても、これまでの知識や経験を組み合わせて解決策を見つけ出せる力。
複雑な情報の中から本当に大切なことを見抜く力。
そして、自分なりの答えを導き出し、それを相手に分かりやすく伝える力。
これらすべてが地頭力なんです。
この地頭力があれば、どんな時代の変化が来ても、どんな困難に直面しても、きっと自分らしい道を見つけることができるでしょう。
レールがあってもなくても、自分で判断し、行動していける大人になれるのです。
これからの教育は、単に偏差値の高い学校に合格させることだけを目標にするのではなく、子どもたちの地頭力を育てることを大切にしていく必要があるでしょう。
保護者の皆さんも、ぜひお子さんと一緒に「なぜ?」「どうして?」を大切にした会話を心がけてみてください。
答えを教えるのではなく、一緒に考える時間を作ることが、地頭力を育てる第一歩だと思いますよ。

【この記事を書いた人】
宮脇慎也(保護者向け教育コーチ)
・20年以上の教育現場経験
・700組以上の親子面談実績
・中学生の偏差値を平均7ポイント向上させた実績
・進学空間Move塾長として地域教育に貢献
・2030年までに1万組の親子の成長をサポートすることを目標
広島大学大学院社会科学研究科博士課程後期修了。2013年から広島市で学習塾を運営し、個別演習型指導で多くの生徒の学力向上を実現。近年はキャリア教育にも注力し、社会人講師を招いた講演会を多数主催。
Happy Education Lab. 運営者
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