
感情のマトリクス理論が教えてくれること
こんにちは。Happy Education Lab.の宮脇です。
最近、「感情のマトリクス」という理論について考えることがあります。
これはとても興味深い理論で、集団の中では自然とそれぞれが異なる感情のポジションを取るという考え方なのです。
例えば、場を引き締める役割を担う人がいれば、その一方で細かいことは全部その人に任せて、頭を空っぽにして頭を白くする役割を演じる人もいる。
集団ができれば、人間関係の中で、自然とその感情のポジションというものを人は取りがちであるというお話なのです。
いろんなところでこの話を聞きながら人間関係というものを考えていくと、本当によく当てはまるものだと思っています。
私が塾の先生をやりながら集団を指揮する際に、実はこの考え方を当てはめながら子どもたちや親御さんに接しているのです。
もし私の集団指揮が上手だと感じていただけるところがあれば、そういったものを活用しているということを知っていただけたらと思います。
家庭で起こる感情のマトリクス〜叱り方の悪循環〜
さて、ご家庭でこの話を考えたときにどういうことが起きるでしょうか。
例えば、お母さんがお子さんに対して叱ることがあると思います。
本当に小さなことですよね。
靴下を洗濯機に入れていないから叱ったとします。
すると、叱られたお子さんが頭真っ白になって、言い訳もうまくできずにおどおどすることが出てきます。
これは重要なポイントなのですが、おどおどしているその子がおどおどしたいわけではないのです。
叱っているお母さんがその子をおどおどさせてしまっているのです。
そして、感情のマトリクスの面白いところは、そうやっておどおどして頭を真っ白にしてしまったお子さんを見ると、さらにお母さんは怒りたくなってくることです。
そうすると最初は、ただ「靴下を洗濯機に入れてくださいね」と言うだけの話だったはずが、だんだんその場の流れに従って、お母さんが「大体いつもあなたはそうなのよ」と、例えば勉強のことなど全然関係ないところに話を飛ばすことがあるのです。
大人はよく「一事が万事」というような言い方をしますが、何のことはない、ただそれは親御さんが場の雰囲気に飲まれて怒りたくなったから、その場とは関係ないものを持ち出して、さらに叱ったということに過ぎないのです。
これを毎日のようにやってしまうと、どんどんその子はおどおどして、頭を真っ白にしてしまうことが癖になってしまいます。
「寄り添う」の本当の意味を理解する
ところで、よく「寄り添う」という言葉を最近聞くようになりましたけれども、これは本当にマトリクスの観点からも説明がつくのです。
例えば落ち込んでしまっている人に対して、元気に明るく「頑張っていこうよ」って言っても、この感情マトリクスの理論のようにバランスを取ってしまうので、より落ち込んでしまうのですね。
落ち込んでいる人には、グッとその人に寄り添って一緒にネガティブな感情を味わうということをしてあげなくてはいけなかったりするのです。
こういうことを生徒と接するときに心がけていくと、その生徒もこの塾、その場が居心地良いものに感じていくのです。
感情のマトリクスを意識した関係づくり
ですから、その場の雰囲気に飲まれて、叱りたい時に叱っていくようなことを続けていくと、お子さんにとっても、親御さんにとっても良くないですし、家族の雰囲気も悪くなります。
いつも親御さんは怒りっぽいお母さんになってしまうということになりかねません。
なので、感情のマトリクスを知って、ちょっとブレーキをかけておこうかなと、そういうような理屈を一緒に学ぶことができたらと思います。
この理論を知ることで、お子さんがおどおどしてしまったときに「あ、今感情のマトリクスが働いているな」と気づくことができるようになります。
そうすれば、一度深呼吸をして、その場の感情に飲まれることなく、本来伝えたかったことだけを冷静に伝えることができるのではないでしょうか。
このHappy Education Labでも、そんなお話をしていこうと思いますので、よろしくお願いいたします。

【この記事を書いた人】
宮脇慎也(保護者向け教育コーチ)
・20年以上の教育現場経験
・700組以上の親子面談実績
・中学生の偏差値を平均7ポイント向上させた実績
・進学空間Move塾長として地域教育に貢献
・2030年までに1万組の親子の成長をサポートすることを目標
広島大学大学院社会科学研究科博士課程後期修了。2013年から広島市で学習塾を運営し、個別演習型指導で多くの生徒の学力向上を実現。近年はキャリア教育にも注力し、社会人講師を招いた講演会を多数主催。
Happy Education Lab. 運営者
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