
はじめに:Facebookで見かけた議論から
こんにちは。Happy Education Lab.の宮脇です。
先日、Facebookで興味深い投稿を目にしました。
「昭和の人たちは学校で当たり前のように先生に殴られていたのですか?」という質問でした。
コメント欄には、昭和時代に学生生活を送った方々の体験談がずらりと並んでいたのです。
私自身も小学校6年生まで昭和を過ごしていたので、当時の学校の様子はある程度分かるつもりです。
昭和時代の「当たり前」だった体罰
コメント欄を見ると、予想通りの内容でした。
Facebookですから比較的年配の方が多いSNSということもありますからね。
「当たり前のように殴られていました」
「体罰はありました」
「教室に竹刀がありました」
「木刀がありました」
今では考えられないような、まさに昭和の常識がたくさん書かれていたのです。
私自身も小学校時代には先生から殴られたり、吹っ飛ばされたりと、いろいろな経験があります。
本当ですよ。
ただ、逆に怖いなと思ったのは、そのコメント欄で昭和時代に体罰を受けていた人たちが、それを肯定的に捉えているということでした。
あるコメントには「当たり前のように先生に殴られていました。ただし、それは私の方に非があることも十分に納得していたので、むしろ教えてくれてありがとうという思いです」と書かれていました。
また、「親もそれは『あんたが悪い』というふうに、学校の先生の行動について騒ぎ立てるようなこともしていませんでした」とも。
そんなコメントが書いてあったのです。
本当に「納得」していたのでしょうか?
確かにそうだったのかもしれません。
当時は殴る側、殴られる側がそれぞれ納得していたように思えるのですが、今になって思うのは「果たして本当にそうだったのだろうか?」ということです。
私自身、結構大人に殴られたことがあるのですが、理不尽に殴られた記憶もありますね。
それが今の私の心の傷になっていないかというと、正直なっていると思うのです。
思い出すと嫌な思いが込み上げます。
果たして、その傷をつけるような行為を、本当に皆さん納得しているのでしょうか。
そして、そのコメント欄で体罰を肯定する人たちは、今の子どもたちを批判するわけです。
「今の子どもたちは殴られ慣れていたり、叱られ慣れていないので、社会に出てもすぐにくじけてしまう」
「ちょっと厳しく指導したらすぐ退職してしまって、こちらが萎縮してしまう」。
そして「あの頃の時代の方が良かった」というふうに体罰を肯定するのです。
適切な挑戦と体罰は別物です
確かに、今の子どもたちが昭和生まれの今の50代、60代に比べると打たれ弱い面もあるかと思います。
かといって、心に傷をつける、あるいはトラウマを植え付ける行為を肯定することが果たしてされるべきなのか。
これは甚だ疑問です。
この点において、私は体罰を基本的に一切否定します。
では、今の子どもたちが打たれ弱いままでいいのかというと、それもちょっと違うと思うのです。
きちんと子どもたちに挑戦をさせるべきだと思います。
例えば、私は台湾や海外の大学に進学する道を作っていますが、そうした道に飛び込んで、アウェイで頑張るという経験は、おそらく彼らの打たれ強さやレジリエンスを向上させるでしょう。
また、私が運営している学習塾では、テスト前の土日は1日8時間の勉強のノルマが課せられます。
あるいは高校生も当たり前のように10時間や12時間を自主的に勉強している子もたくさんいます。
それを私が強制しているわけではないんですよね。
「自分たちの判断できちんと考えて動きなさい」というふうにやっています。
そうすると、自分の意志でやる、そしてそのための環境がある場所では、子どもたちは意外に本気になって自分のやるべきことに頑張るんです。
他にも、アルバイトで働くことなど、厳しい環境に飛び込むという習慣をつけることは必要だとは思います。
ただし、それは適切な挑戦の場を提供することであって、体罰を肯定して良いという話には、私は賛同しかねるということです。
そうした経験の方が健全で建設的ではないでしょうか。
教育者として伝えたいこと
皆さんはいかがでしょうか?
このブログを読んでくださっている方たちも昭和世代の方が多いかと思いますが、果たして体罰は肯定されるべき行為でしょうか。
正直に振り返ってみて、皆さんの心に傷が残っていませんか?
私ははっきりと体罰を否定させていただきたいと思います。
でもね、昭和世代の皆さんの気持ちも分からなくはないのです。
あの時代はそれが当たり前でしたからね。
ただ、今だからこそ言えるのは、あれは間違いだったということです。
子どもたちには本当の意味での強さを身につけてもらいたいじゃないですか。
それは恐怖からではなく、自信と挑戦から生まれるものだと思うのです。
そんな教育の方が、親御さんとしても楽しいでしょう?

【この記事を書いた人】
宮脇慎也(保護者向け教育コーチ)
・20年以上の教育現場経験
・700組以上の親子面談実績
・中学生の偏差値を平均7ポイント向上させた実績
・進学空間Move塾長として地域教育に貢献
・2030年までに1万組の親子の成長をサポートすることを目標
広島大学大学院社会科学研究科博士課程後期修了。2013年から広島市で学習塾を運営し、個別演習型指導で多くの生徒の学力向上を実現。近年はキャリア教育にも注力し、社会人講師を招いた講演会を多数主催。
Happy Education Lab. 運営者
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