「やらされる勉強」から「自分で選ぶ勉強」へ―子どもの学びを支える親の関わり方

中学生に「勉強しなさい!」が通じなくなる理由

こんにちは。Happy Education Lab.の宮脇です。

 

中学生くらいになると、どうでしょう?

「勉強しなさい!」と言っても、なかなか素直に動いてくれなくなりますよね。

小学生の頃は親の言うことを聞いてくれていたのに、思春期に入るとそうはいかない。

つい「やらなかったらスマホ没収よ」とか「次のテストで点数が上がったらご褒美あげるから」といった方法に頼ってしまう気持ち、本当によく分かります。

でも実は、心理学の研究では、こうした外からの刺激だけでは長続きしないことが明らかになっているのです。

やる気の「質」を決める4つの段階

ここで知っておいていただきたいのが「自己決定理論」という考え方です。

この理論では、やる気のあり方を「どれくらい自分で納得しているか」という自律性の度合いで整理しています。

 

最も外からの影響が強いのが「外的調整」。

叱られるから勉強する、褒められるから勉強する、という動機ですね。

 

次が「義務感的調整」。

これは自分の中に「やらなきゃ…」という不安や義務感を取り込んでしまった状態です。

ここまでは、どちらかというと勉強が「やらされているもの」に近い段階だと言えるでしょう。

 

そこから一歩進むと「同一化的調整」になります。

これは「勉強は将来の夢につながるからやっておこう」と、自分なりに価値を感じて取り組んでいる状態です。

 

そして最も自律的なのが「内的調整」。学ぶこと自体が楽しくて、知識を得ることに喜びを感じて勉強する段階ですね。

子どもが意欲的に学び続けられるのはどんなとき?

では、子どもが長く意欲的に学び続けられるのは、どの段階でしょうか?

 

答えは、この「同一化」や「内的」レベルに近づいたときなのです。

 

外からの刺激や義務感だけで勉強している子は、どうしても長続きしません。

テストが終わったら燃え尽きてしまったり、受験が終わった途端に勉強から離れてしまったりするケースを、私は何度も見てきました。

 

一方で、「この分野は将来の仕事に役立ちそうだから」とか「この科目は面白いから」という気持ちで学んでいる子は、困難があっても粘り強く取り組めるのです。

それは、勉強が「誰かにやらされているもの」ではなく「自分で選んだもの」になっているからですね。

親ができる「意味を見つける」サポートとは

それでは、親としてできることは何でしょうか?

それは、外から動かそうとするのではなく、子どもが「自分で意味を見つけられる」ように支えることです。

 

例えば、お子さんが将来の夢を持っているなら、「この勉強は将来の夢につながるね」と一緒に話してみる。

 

日常生活の中で学びとのつながりを感じられるようにするのも効果的です。

 

「こんなことが分かると面白いよね」「これを知っていると、こういうときに役立つんだよ」といった声かけですね。

 

強制や報酬で動かそうとするよりも、こうした関わりのほうが、ずっと子どもを「やらされる勉強」から「自分で選んで学ぶ勉強」へと導いていきます。

時間はかかるかもしれませんが、それでいいのです。

 

焦らず、お子さんが自分なりの学ぶ意味を見つけられるよう、寄り添っていただけたらと思います。

【この記事を書いた人】

宮脇慎也(保護者向け教育コーチ)

 

・20年以上の教育現場経験

・700組以上の親子面談実績  

・中学生の偏差値を平均7ポイント向上させた実績

・進学空間Move塾長として地域教育に貢献

・2030年までに1万組の親子の成長をサポートすることを目標

 

広島大学大学院社会科学研究科博士課程後期修了。2013年から広島市で学習塾を運営し、個別演習型指導で多くの生徒の学力向上を実現。近年はキャリア教育にも注力し、社会人講師を招いた講演会を多数主催。

 

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