
こんにちは。Happy Education Lab.の宮脇です。
最近、心理学を改めて本格的に学び始めて、とても興味深い発見がありました。
それと同時に、「ああ、これは気をつけなければ」と感じることもあったのです。
今日はそのことについて、少しお話ししたいと思います。
1. 心理学の知見を日本の子育てにそのまま当てはめていいのか?
心理学で言われていることを、すべて正しいこととして日本の子育てにそのまま当てはめる——実は、ここには慎重になる必要があるんですよね。
なぜそう思うようになったかというと、ある心理学用語に出会ったからです。
難しそうな言葉が出てきますが、大事なことなので少しお付き合いください。
「WEIRD」(ワイヤード)という言葉があります。
WEIRDとは、Western(西洋)、Educated(教育を受けた)、Industrialized(工業化された)、Rich(裕福)、Democratic(民主的)の頭文字を取った言葉。
驚くべきことに、心理学研究の被験者の95%が欧米人を対象にしており、アジアやアフリカを対象にした研究はほとんど存在しないというのです。
つまり、私たちが「人間の心理」として学んでいる多くの知見は、実は欧米人の心理に過ぎないということ。
これは心理学界でも大きな問題とされており、心理学が先発的に発展した欧米ではそうした研究の蓄積があるけれども、後発的に心理学が進んだ日本ではどうなのか——その研究はこれからだというのです。
2. 欧米流の子育て法が日本の家庭に合うとは限らない
この視点は、子育てにも深く関係してきます。
皆さんも、SNSで「これが正解!」と言われて戸惑ったこと、ありませんか?
例えば、海外の心理学的な子育て法や、欧米流のポジティブペアレンティングが人気ですよね。
でも、それが日本の家庭や人間関係の形にそのまま合うとは限らないんです。
以前、保護者の方が「うちの子、自分の意見を言わなくて心配です」と相談されたことがあります。
話を聞くと、家では静かにお母さんの話を聞く子だというんです。
「それ、どうしてダメだと思われたんですか?」と尋ねると、SNSで「子どもに意見を言わせるのが大事」と見て不安になったとのこと。
でも、よく考えたら、その子は親の話をしっかり受け止めて、自分なりに考えて行動していた。
その子はその子のペースで、ちゃんと成長していたんです。
それでいいんですよね。
日本では「空気を読む」ことや協調性が重視され、欧米のような自己主張や意見のぶつけ合いをよしとする文化とは、価値観の基盤が異なります。
欧米では自立の象徴とされる行動も、日本では「親を立てる」文化の中で、慎重にバランスを取る必要があると感じています。
3. ハピエデュでの情報提供について
ですので、このHappy Education Lab.でご紹介する心理学の理論や考え方も、「心理学ではこう言われている」という知識だけでなく、私自身の実感と照らし合わせてお伝えしていきたいと思っています。
私は20年以上、学習塾業界で経験を積んできました。
その中で感じてきたこと、実際に目の当たりにしてきた子どもたちや保護者の方々の姿。
心理学の理論と合うところもあれば、合わないところもあるわけです。
そうした「理論と現場のギャップ」もきちんとお話ししながら、皆さまに情報提供していくべきだと考えています。
4. これからも一緒に学んでいきましょう
このHappy Education Lab.では、心理学の情報も取り入れつつ、教育の現場から得た実感的な話も楽しんでいただけたらと思います。
心理学という学問の奥深さを知りながらも、それを日本の文化や私たちの暮らしの中でどう活かせるのか——一緒に考えていけたら嬉しいです。
次回、心理学の情報に触れたときは「これは日本の子育てに合うかな?」と一度立ち止まって考えてみてください。
その一呼吸が、お子さんにとっても、保護者の方ご自身にとっても、きっと大切な時間になるはずです。
これからも、温かい目で見守っていただけたら幸いです。

【この記事を書いた人】
宮脇慎也(保護者向け教育コーチ)
・20年以上の教育現場経験
・700組以上の親子面談実績
・中学生の偏差値を平均7ポイント向上させた実績
・進学空間Move塾長として地域教育に貢献
・2030年までに1万組の親子の成長をサポートすることを目標
広島大学大学院社会科学研究科博士課程後期修了。2013年から広島市で学習塾を運営し、個別演習型指導で多くの生徒の学力向上を実現。近年はキャリア教育にも注力し、社会人講師を招いた講演会を多数主催。
Happy Education Lab. 運営者
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