
こんにちは。Happy Education Lab.の宮脇です。
宿題をしない、部屋を片付けない、スマホばかり見ている――。
そんな子どもの姿を見たとき、「この子は怠け者だ」「やる気がない」と感じてしまうことはありませんか?実は心理学では、こうした見方を「基本的帰属のエラー」と呼びます。
今日は、この心理学の視点から親子関係を見つめ直してみたいと思います。
1. 他人の行動を「性格のせい」にしてしまう私たち
最近、改めて心理学を勉強し直していて出会った「基本的帰属のエラー」という言葉があります。
「基本的帰属のエラー」とは、相手の行動を見たときに、その人の内面(性格や意志)のせいにしてしまい、状況や環境の影響を見落としてしまう心理傾向のことです。
例えば、職場で同僚が挨拶を返さなかったとき、「あの人は冷たい性格だ」と思いがちですが、実は大きな悩みを抱えていて余裕がなかっただけかもしれません。
子育てでも同じです。
「やらない=怠けている」「反抗的=性格が悪い」というように。
でも、実際にはその行動の裏に状況的な要因が隠れていることが多いのです。
2. 行動の裏にある「見えない理由」
具体的に考えてみましょう。
宿題をしていないのであれば、実は宿題の意味がわからずに不安を感じているのかもしれません。
あるいは、モチベーションを感じていないのかもしれません。
親御さんに無愛想な態度をしているときは、性格が悪いのではなく、学校で嫌なことがあって落ち込んでいるのかもしれません。
ダラダラとスマホを見ているのであれば、親に認められたい気持ちが満たされずに逃避しているのかもしれません。
このように環境や心理的要因を見落とすと、親子関係に無用な軋轢が生まれてしまうことがあります。
では、こうした状況的要因に気づくために、私たちはどんな視点を持てばいいのでしょうか。
3. 「性格の問題」から「状況の問題」へ視点を変える
ここで大切になるのが、心理学で言う「視点のシフト」です。
お父さんお母さんに本当にお願いしたいのは、子どもの行動を見たときに「なぜこの行動が起きたのか」を、その子の性格に落とし込むのではなく、状況から考える視点です。
心理学ではこれを「内的帰属から外的帰属へシフトする」と言います。
つまり、「この子の性格の問題」から「この子を取り巻く状況の問題」へ目を向ける、ということです。
言い換えれば、「うちの子は怠け者だ」と思う状況があったときに、「今この状況で、何がこの子を動かしにくくしているんだろう」と考えてみることです。
そうすると、叱るよりも理解し合うアプローチに自然と変わってきます。
「一緒に考えよう」という姿勢が生まれるのです。
子どもも、自分の性格のせいにされるのではなく、今自分が陥っている状況を親御さんと一緒に理解してもらいたいと思っているのも自然なことでしょう。
4. 少しの視点の変化が、親子関係を変えていく
こうやって心理学を改めて勉強し直していて思うのは、心理学の面白いところは自分の見方を少し変えるだけで、人間関係や親子関係が変わってくるということです。
子どもの行動を性格ではなく、状況から見つめ直すこと。
「今この子がこの行動をしているのは、何がこの行動をさせているのだろう」という視線です。
それが、10年後の親子の幸せにつながる一歩なのかもしれません。

【この記事を書いた人】
宮脇慎也(保護者向け教育コーチ)
・20年以上の教育現場経験
・700組以上の親子面談実績
・中学生の偏差値を平均7ポイント向上させた実績
・進学空間Move塾長として地域教育に貢献
・2030年までに1万組の親子の成長をサポートすることを目標
広島大学大学院社会科学研究科博士課程後期修了。2013年から広島市で学習塾を運営し、個別演習型指導で多くの生徒の学力向上を実現。近年はキャリア教育にも注力し、社会人講師を招いた講演会を多数主催。
Happy Education Lab. 運営者
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