
1. その悩み、実はとても自然なことです
こんにちは。Happy Education Lab.の宮脇です。
「うちの子は塾では勉強しているようですが、家では全然勉強しないんです」
この言葉、保護者の方から本当によく聞きます。塾にまで通わせて、将来のために頑張ってほしいと思っているのに、家に帰ってくるとソファでダラダラしている我が子を見ると、ついイライラしてしまいますよね。
「塾代もかかっているのに、なんで家では勉強しないの?」
「もっと自主的に取り組んでほしい」
そんな気持ちになるのは、とても自然なことです。
でも実は、これは特別なことではないんです。
むしろ「うちの旦那は会社では仕事をしているけれど、家では仕事しませんよね」というのと同じくらい当たり前のことなのです。
なぜなら、家という環境は、そもそも勉強に適した場所ではないからです。
考えてみてください。家には何がありますか?
テレビ、布団、漫画、ゲーム、スマートフォン…しかも家族の皆さんはリラックスして過ごしていますよね。
そんな環境で、お子さんだけが何時間も集中して勉強するというのは、実はとても難しいことなのです。
2. 環境の力を理解することから始めましょう
「それなら家でも勉強できる環境を作ればいい」と思われるかもしれません。
でも現実的に考えてみてください。
誘惑を完全に排除して、保護者の方も一緒に勉強する時間を作り続けるのは、想像以上に大変なことです。
私自身も、正直なところ、家で子どもと一緒に勉強し続ける余裕はありません。
お子さんも同じように、とても難しい状況に置かれているのです。
勉強するということは、そんなに簡単なことではありません。
適切な環境があって初めて、継続的な学習が可能になるのです。
実際に成果を出している子どもたちを観察していると、必ず共通点があります。
それは、勉強に適した環境を見つけて活用していることです。
図書館の自習室、塾の学習スペース、カフェの静かな席など、自分が集中できる場所を知っていて、そこを積極的に利用しているんですね。
3. 大切なのは「責任の分離」という考え方
ここで、アドラー心理学の「責任の分離」という考え方をご紹介したいと思います。
これは
「馬を水飲み場まで連れて行くことはできるが、馬に水を飲ませることはできない。水を飲むかどうかは馬の責任である」
という例えで説明される考え方です。
教育においても同じことが言えます。
保護者の皆様の責任は、お子さんが学習できる環境を整えてあげることです。
塾に通わせたり、参考書を用意したり、学習に必要な条件を揃えることですね。
一方で、その環境の中で実際に勉強するかどうかは、お子さん自身の責任なのです。
どんなに素晴らしい環境を用意しても、最終的に「やるか、やらないか」を決めるのは、お子さん本人だからです。
つまり、保護者の皆様が塾に通わせたり、家庭学習の環境を整えたりすることで、親としての責任は十分に果たしているということです。
その環境をどう活用するかは、お子さんが決めることなのです。
4. 具体的にできることと心構え
では、具体的にはどうすればいいのでしょうか。
まず、お子さんが塾や学校でしっかり学習していることを認めて、褒めてあげてください。
「塾では頑張っているんだね」という言葉をかけるだけでも、お子さんの気持ちは変わります。
家での過ごし方については、完璧を求めすぎないことが重要です。
もし家で少しでも宿題に取り組んだら、それを認めてあげる。
リビングで教科書を開いただけでも「勉強しようとしているね」と声をかける。
そんな小さな変化を見逃さないでください。
また、お子さんが「今日は図書館で勉強してくる」と言ったら、快く送り出してあげてください。
場所を変えることで集中できるなら、それは素晴らしい自己管理能力の表れです。
5. 長い目で見守ることの大切さ
家で勉強しないお子さんを見てイライラするのは、本当に自然な感情です。
でも、それぞれの役割を理解することで、もう少し楽な気持ちで見守ることができるのではないでしょうか。
大切なのは、お子さんが将来的に自分で学習環境を整える力を身につけることです。
大学生になったら、誰も環境を用意してくれません。
今のうちから「どんな場所なら集中できるのか」「どんな時間帯が自分に合っているのか」を知ることも、とても価値のある学習なのです。
完璧を求めすぎず、お子さんの成長を長い目で見守っていただけたらと思います。
適切な環境と時間があれば、お子さんも必ず成長していきます。
焦らずに、お子さんのペースを大切にしながら、温かくサポートを続けていってくださいね。

【この記事を書いた人】
宮脇慎也(保護者向け教育コーチ)
・20年以上の教育現場経験
・700組以上の親子面談実績
・中学生の偏差値を平均7ポイント向上させた実績
・進学空間Move塾長として地域教育に貢献
・2030年までに1万組の親子の成長をサポートすることを目標
広島大学大学院社会科学研究科博士課程後期修了。2013年から広島市で学習塾を運営し、個別演習型指導で多くの生徒の学力向上を実現。近年はキャリア教育にも注力し、社会人講師を招いた講演会を多数主催。
Happy Education Lab. 運営者
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