
1. 外からは見えない子どもたちの本音
こんにちは。ハッピーエデュラボの宮脇です。
私が普段営んでいる学習塾には、本当に様々な子どもたちが通ってきてくれています。
学力の高い子もいれば、そうでない子もいる。
その中で、彼らの話を聞いたり、普段の行動を見ていると、成績や外見だけでは分からないことがたくさんあるのです。
特に驚かされるのは、いわゆる「勉強ができる子」たちの声なのです。
周りから見ると順風満帆に見える彼らが、実は「私なんか勉強ができるだけです」「勉強とったら何も残らないので、それが本当に嫌なんです」と言うのです。
驚きませんか?
一生懸命勉強していて、客観的に見てルックスも良く、人気者で、男の子だったらかっこいい、女の子だったらかわいいと言われる子たちでも、自己肯定感が低いことがあるのです。
「私なんか一生懸命やっても」「僕なんかどんだけやっても無駄なんだ」と言ったりします。
このような子どもたちの本音を聞くたび、自己肯定感というのは外からは本当に見えないものなのだと実感します。
2. 自己肯定感の違いが生む行動力の差
もちろん学力が低い子の中にも、自己肯定感が低くて「自分なんて」と言う子がいます。
一方で、どんな状況であっても自己肯定感が高い子もいるのです。
「僕は今はできないけど、やればできるんだ」とか「やってもできないんだけど、こっちの方だったら自信があるんだ」と言う子たち。
そうした子たちは、やはり次に向けての行動ができるのですよね。
なかなか自己肯定感が低い子というのは、周りの大人や同級生から羨ましく見えていても、何らかのきっかけで次の行動ができないということがよくあります。
そして気がついたら、学校に足が向かなくなったという子に出会ったりしてきました。
自己肯定感の高低が、その後の行動力に大きく影響することを、私は何度も目の当たりにしてきました。
自己肯定感というのは、それぐらい重要で、しかし周りから見ていて分からないものなのだと、正直思います。

3. 「この子は100%悪くない」という視点の重要性
どう対処すべきなのでしょうか?
自己肯定感を高めるということであれば、幼少期、そして小学校時代、いわゆる子育ての前半戦を通じての親御さんとの関係性がすごく大切になります。
ここでお父さん、お母さんに重要なポイントがあります。
自己肯定感が低い子に対して声かけするときは、「この子は100%悪くない」という視点からその子のことを見てあげてください。
例えば、勉強していて集中力が続かないという子がいた場合に、それは発達の特性かもしれないし、周りの環境が整っていないからかもしれない、あるいは目の癖であちこちに視線が飛ぶということがあるのかもしれない。
そのように、その子の意思とは別に何か別の要因があるのかもしれないと考えてみてください。
他にも、今日に限って、学校で嫌なことがあったのかもしれません。
そんな時に勉強に集中できないのは仕方がないことだと思えるかどうかです。
私が確信しているのは、自分の成長を望んでいない子なんていないということ。
子どもたちの成長意欲はとんでもないものがあります。
それが発揮できない時は、別の要因があって、やりたくてもできない状態なんだと思って見てあげられるかどうかも、ポイントの一つなのです。
実際にお子さんに対してイライラしてしまった時は、まずは深呼吸をして、「この子の立場になって考えてみよう」と心を整理してみてください。
そして、「きっと何か理由があるはず」と思って接することで、親御さん自身の気持ちも落ち着き、お子さんへの声かけも自然と優しくなるのです。
4. 具体的な声かけと愛情の積み重ね
では、具体的にどのような声かけをすればよいのでしょうか?
一例ではありますが、宿題をやらない時には、「何か気になることがあるのかな?」と聞いてみてください。
忘れ物をした時は、「今日は他のことで頭がいっぱいだったのかもしれないね」と声をかけてあげる。
テストの点数が悪かった時は、「何か分からないところがあったのかな?」と理由を一緒に考えてみる。
部屋が片付かない時は、「疲れているのかもしれないね、一緒にやってみようか」と寄り添ってみる。
友達とのトラブルがあった時は、「辛い気持ちになったのね、話してくれてありがとう」と気持ちを受け止めてあげる。
朝起きられない時は、「昨日は遅くまで頑張っていたものね」と労ってみる。
そして、ゲームをやめられない時は、「きっと楽しいことがあったのね、でも時間を決めて楽しもうか」と理解を示してから提案する。
そんな声掛けをお願いしたいと思います。
とにかく愛情を与えてくださいというのも大切なポイントなのですが、声かけ一つにせよ、質問一つにせよ、一つ一つ丁寧に向き合っていただきたい。
その積み重ねが子どもたちの自己肯定感を上げることにつながります。
そしてそれが、子育ての後半戦、反抗期や思春期を迎えた子たちの行動力にかなりの程度影響しているという事例を何人か見たことがあります。
やり方が分からないということもあるかもしれませんが、声かけの仕方を互いに相談しながら、とにかくお子さんと向き合って、彼らを否定することなく見守っていただけたらと思います。
【参考記事】
「子どもの生きる力を育む地頭力モデルの基盤について、こちらの記事で詳しく解説しています」
「子育て後半戦の心構えと親子関係の築き方は、こちらの記事も参考にしてください」

【この記事を書いた人】
宮脇慎也(保護者向け教育コーチ)
・20年以上の教育現場経験
・700組以上の親子面談実績
・中学生の偏差値を平均7ポイント向上させた実績
・進学空間Move塾長として地域教育に貢献
・2030年までに1万組の親子の成長をサポートすることを目標
広島大学大学院社会科学研究科博士課程後期修了。2013年から広島市で学習塾を運営し、個別演習型指導で多くの生徒の学力向上を実現。近年はキャリア教育にも注力し、社会人講師を招いた講演会を多数主催。
Happy Education Lab. 運営者
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