
1. 塾で見かける典型的なパターン
こんにちは。Happy Education Lab.の宮脇です。
長年塾の先生をやっていると、子どものやる気がなくなるパターンというものに気がつくことがあります。
特にある一定の親子関係において生じるのが目立つのです。
その典型的なものが、多くの親御さんが感じている『自分はもっと勉強しておけばよかった』という思い。
この気持ち、本当によく分かります。
そして、その経験から子どもには同じ思いをさせたくないと願うのは、とても自然で愛情深い親心だと思うのです。
ただ、その伝え方について少し考えてみませんか?
こうやって文字にすると、「そんな状況本当にあるの?」と思う人も多いと思うのですが、塾の先生として親子関係に注目していると、結構な頻度で出会います。
はっきりと申し上げて、やめた方がいいでしょう。
2. 子どもから見た親のコンプレックス押し付け
多くの場合、子どもが途中で息切れしてしまいます。
「お父さんやお母さんみたいな苦労をお前にして欲しくないんだ」という思いは、紛れもなく子を思う親心から出てきているものだと理解します。けれど、子どもからすればいい迷惑なんです。
「勉強しないと苦労をするから勉強はしないといけない。お父さんやお母さんはその大切さに気がつかず、後悔している。
だから、お前には早くから知っておいてほしい」
こんな親御さんの言い分は、子どもからすれば、「自分たちがやっていないことを私に無理やりさせるんだ」と思うだけです。
そして、勉強そのものの価値に注目できないまま、「勉強はしないと大変なことになるもの」という負のイメージだけを植え付けられてしまうのです。

3. フィアベースのモチベーションの限界
そんな負の感情から勉強しようとするモチベーションのあり方を、「フィア(恐れ)ベースのモチベーション」と言います。
モチベーションのあり方としてはかなり強力なのですが、欠点は途中で息切れしやすいということです。
一体何年間子どもを脅し続けるつもりでしょうか?
小学校4年生からだとすれば、大学入試までの9年間子どもを脅し続けることになるのです。
そりゃあ、途中で無理が出ますよね。
4. ラブベースのモチベーションへの転換
勉強ができるメンタリティというのはそういうものではありません。
勉強そのものが楽しい。勉強ができると、こんなことをできるようになった。
勉強が分かるようになって、こんな面白いことに気がついた。
勉強ができるメンタリティというのは、勉強や何かが好きだという感情に基づくものです。
これを「ラブベースのモチベーション」と呼びます。
ラブベースのモチベーションは、長続きしやすく効果も出やすいのです。
そして、何よりやっていて本人が楽しい。
成績が急上昇する時とは、「勉強が楽しい」と本人が気づいた時ですよ。
まずは週に一度、お子さんが学校で学んだことを聞いてみてください。
『今日何を習ったの?』ではなく、『今日一番「えー!そうなんだ」って思った授業は何?』と聞くのがコツです。
中学生は新しい発見に対して『マジで?』『なんでそうなるの?』という反応を見せてくれます。
その好奇心を一緒に共有してあげてください。
そして、お子さんの年齢に応じた褒め方も大切です。
小学生には『頑張ったね!』『よく気づいたね!』といった過程を褒める言葉が響きます。
結果よりも『一生懸命やった』『新しいことを覚えた』という努力や発見そのものを認めてあげることが大切です。
一方、中学生には『その考え方、面白いね』『なるほど、そういう見方もあるんだ』といった、彼らの思考プロセスや独自性を認める言葉が効果的です。
『子ども扱い』されることを嫌がる時期なので、一人の人間として意見を尊重する姿勢が重要なのです。
ぜひ勉強の楽しさをお子さんに伝えてあげてください。
私たち大人にとっても、これは大切な学びの機会だと思うのです。
保護者の皆さんと一緒に、子どもたちの『学ぶ喜び』を育てていけたらと思います。

【この記事を書いた人】
宮脇慎也(教育コンサルタント)
・20年以上の教育現場経験
・700組以上の親子面談実績
・中学生の偏差値を平均7ポイント向上させた実績
・進学空間Move塾長として地域教育に貢献
・2030年までに1万組の親子の成長をサポートすることを目標
広島大学大学院社会科学研究科博士課程後期修了。2013年から広島市で学習塾を運営し、個別演習型指導で多くの生徒の学力向上を実現。近年はキャリア教育にも注力し、社会人講師を招いた講演会を多数主催。
Happy Education Lab. 運営者
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