
子どもが勉強しない。だらだらしている。そんなとき、「この子はやる気がないんだ」と決めつけてしまったこと、ありませんか?
こんにちは。Happy Education Lab.の宮脇です。
昨日、「基本的帰属のエラー」についてお話ししました。人は問題が起きたとき、環境や状況ではなく、つい「その人のせい」にしてしまう。
そんな心理的傾向のことです。
詳しくは昨日のブログをご覧いただきたいのですが、実はこの話、私が運営する学習塾で生徒たちに伝えたところ、思いがけない反応があったのです。
今日はそのことをお伝えしたいと思います。
真剣な表情で聞いてくれた生徒たち
昨日、塾で15人ほどの生徒に、この「基本的帰属のエラー」の話をする時間がありました。
いつも以上に引き締まった表情で、みんな真剣に聞いてくれていました。
おそらく、思い当たることがあったのでしょう。
どんな話をしたかというと、こんな内容です。
たとえば、勉強に身が入らず、だらだらしてしまう。そんなとき、「ああ、自分ってなんてダメなんだろう」って、自分を責めちゃうよね。
でも本当は、家に集中できる環境がないのかもしれない。
学校で嫌なことがあって、それどころじゃない状態なのかもしれない。
安心して生活できない状況であれば、勉強に向かえないのは当然なんです。
それなのに、「自分が悪いんだ」と自分のせいにしてしまう。
そうやって自分を追い詰めても、何も好転していきません。
むしろ、自己肯定感が下がってしまうだけです。
大切なのは、自分を責めることではなく、まず外側の環境から整えていくこと。
環境がないなら環境を整える。学習塾に通ってみる。
人間関係に不安があるなら、それを丁寧に解きほぐしていく。
そうやって原因となっている状況をまず取り除くことに意識を向けましょう、と。
うっすらと涙を浮かべていた子がいた
そんな話をしていたとき、ふと気づきました。
生徒の中に、目にうっすらと涙を浮かべながら聞いている子がいたのです。
本当に心当たりがあったのでしょう。
どうしようもできない状況の中で、「自分が悪いんだ」と自分を責め続けてきたのかもしれません。
歯を食いしばって、一人で抱え込んで過ごしてきたのかもしれません。
その姿を見て、私はハッとしたんです。
ああ、この子たち、本当に苦しんでるんだって。
自分じゃどうにもできないことで、ずっと自分を責めてたんだって。
一人で。
その子のせいではなく、そうさせている原因は何なのかを考えること。
これこそが大人の役割なんだろうなと、強く思ったのです。
それでも「その子のせい」だと思いますか?
しかし、ここまで読んで「そうは言ってもね…」って思う方もいらっしゃるんじゃないでしょうか。
「やっぱりその子のせいでしょう?」って。
でも、そこをぐっとこらえてください。
それこそが基本的帰属のエラーなのです。
それを突き進めても、物事は何も好転していきません。
本当に大事なのは、子どもたちの自己肯定感を守りながら、きちんと頑張れる形を一緒につくっていくことです。
大人が一方的に答えを与えるのではなく、子どもと一緒に原因を探り、一緒に取り除いていく。
そんな対話の中でこそ、子どもは「自分は大丈夫なんだ」と思えるようになっていくのです。
あの涙を見て、この話の大切さを改めて実感しました。
どうか、お子さんを見るとき、まず「何が起きているのか」を一緒に考える姿勢を持っていただけたらと思います。
今日の小さな対話が積み重なって、これからの親子の信頼関係につながっていくはずです。

【この記事を書いた人】
宮脇慎也(保護者向け教育コーチ)
・20年以上の教育現場経験
・700組以上の親子面談実績
・中学生の偏差値を平均7ポイント向上させた実績
・進学空間Move塾長として地域教育に貢献
・2030年までに1万組の親子の成長をサポートすることを目標
広島大学大学院社会科学研究科博士課程後期修了。2013年から広島市で学習塾を運営し、個別演習型指導で多くの生徒の学力向上を実現。近年はキャリア教育にも注力し、社会人講師を招いた講演会を多数主催。
Happy Education Lab. 運営者
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